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目が好き。 [母のこと]

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AF 85mm F1.4D(※2007年8月撮影)

 

11月21日から24日に帰省しました。
突然下半身不随となったムックと、実家でムックを一人介護する父に会うため。

ムックと私達家族の出会いは17年前にさかのぼります。
ある日、父が突然犬を飼いたいと言い出しました。
それまで我が家でペットを飼った経験は、赤いカナリア1羽だけだったし、母は小さい頃に犬に噛まれた経験があるらしく大の犬嫌いだったので猛反対でした。
それでも父は大好きなパチンコもやめるからって母を説得し続けました。
(今まで強く物事を押し通したことのない父が、何故あんなに犬を飼うことに執着したのかは今でも不思議です。)

それから数日後、私の知人から「家で北海道犬と柴犬のMixが生まれたからいらないか?」って偶然にも話がありました。
見に行くと3匹くらい生まれた中でひときわ大きい体のワンちゃんがいました。
まるでお母さんのおっぱいを独り占めしてたように元気なワンちゃん。
父に知らせると「是非飼いたい!」って反対する母を強引に説得してしまいました。

ダンボールに入れられた小さなワンちゃん。
猛反対していた母ですが、その小さな純粋な目を見たとたん誰よりも夢中になってました。
名前も母が付けました。
ムクムクと太ったまん丸なワンちゃん。
滅多に吠えない可愛らしいワンちゃん。
幾つかの候補からムックと名前が決まりました。

父は外で飼う予定だったのですが、母が可哀想だから家で飼いたいってことになり、犬種から言って常識外だと思うのですが室内犬になりました。
それからは、楽しい思い出をいっぱいくれました。
春はお花見、夏は海水浴、秋は紅葉狩り、冬は1匹犬ぞり(笑)

犬を飼ったことのない無知な私たち家族は、色んな可哀想なこともしました。
大きな音の出るお祭りや花火大会に連れ出したり、御法度のタマネギやチョコレートも食べさせちゃったこともあります。
それでもいつも元気なムックでした。
お決まりの注射などで行く以外、1度も病院のお世話になったことがありませんでした。

いつも愛してくれた母が亡くなった時、ムックは黙って座って棺を見てました。
大勢の参列者が来る中、黙ってお利口にして伏せをしてました。
葬儀のあと、父と2人で泣いてた夜、そっと間に座って癒してくれました。

私はムックの目が大好きでした。
純粋でとっても澄んだ目が本当に好きでした。
今回、かすかな望みを持って家に帰ったのですが、ムックの目を見て愛犬の死が近いことを覚悟しました。
体が動かない中、いっぱいの涙を瞳にためて私のこと見てました。
涙の向こうに私が映ってました。

あんなに小さかったムック。
いつのまにか私のことも父のことも追い越して歳をとってしまいました。
春が来ると18歳。人間でいうと88歳だそうです。
今は87歳くらいでしょうか。

父のことも気がかりです。
今まで1度も聞いたことのなかった弱気な言葉。
駅まで迎えに来てくれた父の背中もやたら小さかった。
もう悲しむのは嫌だから、犬はもう飼わないって話してました。

ムックの介護用ベットを購入して「大変だけど何とか頼む」と父に話をし、仏壇の中の母には「そろそろ連れていくなら苦しまないよう安らかに連れてって下さい」とお願いし、ムックには顔におでこを付けて「また来るからね!」て別れを告げて家を後にしました。


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